生きることとは 生まれ続けて 愛され続けることで

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人生は喜びに満ちた悲劇である【バーナード マラマッド】



はぁ、パソコン思いです。シェノンです。



サボりすぎですね! ひゃっほぉおお!
今週はテストがありましたので、そこは生暖かい目で見逃してください。
批判は軽んじて受けます(甘んじろ

と、今回暇潰しで書いた小説をのせてみようという無謀な策を曝け出してみる。
というか、非周期的に連載、かなぁ。
まぁ後半にのせるんで邪魔にはならないし、スルーで全然構いません。
コメ返信は懼れながら、明日あたりにさせていただきたいと思います。面目なし。


 
  シニカル・シンドローム


 1 ヒビなる日々

「なぁ、探偵は幽霊の存在を信じるのか?」
 俺は意識的にか無意識的にか、そんな事を尋ねていた。
 脚の回転する、偉そうな椅子にチンマリ座っていた十七夜月がコチラを向いた。
「それは僕が探偵である、と賞賛してくれた上での質問かな、巫部(かんなぎ)くん? だとしたら嬉しい、と心から思うよ。巫部なんて難読苗字は伊達じゃないね。伊達もなかなかに難読苗字だけど、さ」
「いや、十七夜の月って書いてカノウとか読む苗字を持っているお前には言われたくない」
 ついツッコミを入れてしまった。
 十七夜月滴。これを見て一体何人もの人が人のフルネームだと気付き、その内何人がその読み方を知っているのか。一度統計を出してみたいが、出さなくても、圧倒的に少ないことはよく分かる。
 十七夜月滴(かのう しずく)と読めたら満点を与えられるだろう。
「というか、苗字関係ないし」
 無駄なリアクションに無駄な会話。それが十七夜月そのものと言えるかもしれない。いや、流石にそれは言いすぎだが、別にそんなものと言われたらそんなものかもしれない。
 実際、酔狂だと思う。特に今俺らがいる部屋。聞いて驚くべからず。『名探偵・十七夜月滴の相談事務所』という名前がある。これが酔狂じゃなくて何だというのか。探偵事務所ってことなのだが、名探偵とは自分で名乗るものなのか、はたまた、ここは事務所と言えるくらいの規模があるのか、疑問の域を超えない蟠りを感じるのは、俺だけではないはずだ。
 そのハテナを多く抱えた事務所の所長である十七夜月は、自分の椅子を回して遊んでいる。暇でしょうがないのだろう。
「巫部くんのその言葉通り質問に答えるには、僕以外の無能なる探偵にも同じ質問をして統計を取る必要があるので、あくまで僕個人の回答として捉えてほしい」
 十七夜月は見ているコッチの方が目を回しそうなくらい椅子をスピンさせて、大体五回転半して止まった。分かるだろうが、その場合十七夜月はコチラとは反対を向くことになる。
「とっとっとっ、こっちか」
 帳尻を合わせるために足先でトントンと床を蹴って戻ってくる姿が何とも笑いを誘う。
「ずばり言うと、答えはイエスだ」
「……へぇ」
 意外だな。
 十七夜月はそういう、非科学的な物の存在を認めるとは思わなかった。十七夜月の言うところの無能な探偵たち、彼らの一般的な意見を俺は聞きたかったのだが、この様子だとやはり個人による処が大きいみたいだ。
「けれど幽霊なんて、見えない触れない感じない、そんなモノだろ? そんな簡単に認めちゃっていいのか?」
「巫部くんがどんな幽霊像を持っているかは残念ながら知らないが、僕の捉える幽霊、英語で言うところのゴーストの認識とはおそらく違うのだろうね」
「……?」
 分からないな。
 幽霊と言おうがゴーストと言おうが何も変わりはしないし、そういうのは死んだ者の魂、怨念や無念の塊であることに違いは生じないはずだろう。
「幽霊とは、通常の域から逸脱した人の感覚だと、僕はそう思うんだ」
 十七夜月は右手の人差し指をタクトのように振り、虚空に丸を何回も描いた。
「人間の感覚は、その肉体から離れることは出来ない。景色を見るのは目だし、音を聞くのは耳で、物の感触を確かめるのは皮膚だね。神経を通して脳にその情報を送り、それでようやく人間は世界を確立出来るわけだよ。つまりどんなに頑張ろうと、人間はその個体に干渉しない出来事を認識できない、限られた感覚から逸脱出来ないんだ」
 けれど、と十七夜月は左手の人差し指を立て、さっきまで描いていた円とは別にグルグルと回し始める。こうやって正面から見ていると、怪しげな怪電波をコチラに発しているようにも見える。
「生霊、という言葉は知っているね。そう、生きている人の霊とかいうやつだよ。細かく説明する必要はないと思うから割愛させてもらうけど、この場合、本人は生霊の見たものを夢として見ているケースが多い。頭の回りが速い巫部くんはさっきの話との関連性を見抜いてくれたと思うが、その通り。肉体から遠く離れた場所を感覚だけで捉えてしまっているね。だから僕はこれを、個体から逸脱した感覚の証明として使いたい。意識的にか無意識的にか、人間は稀に感覚を遠隔操作している、と」
 十七夜月が淡々と解説しているのを見て、俺は所在なさそうに頭を掻いた。
 頭が回るも何も、俺はそもそも幽霊も生霊も信じてはいないのだから。
「幽霊も実は同じだと僕は思うんだよ。肉体から離れた感覚。それは、その個体が死滅したらどうなるのかな? 同じように朽ちるのか、はたまた一個の存在として、感じるだけの存在として世界と関わり合っていくのか。いやぁ、興味深いねぇ。それとも興味高い、とも表現してみようかな?」
「……それが幽霊の正体ってことか?」
 俺は話半分に聞いていたが、そこそこに筋の通るぶっ飛んだ仮説を前にどう対応すればいいのか戸惑う。それはまるで超能力のようではなかろうか。
 僕がそう言うと、十七夜月は軽く頷いて、
「そうだね」と言った。
「超能力を意味するところのESPは、日本語訳で『超感覚』と言うのだよ。サイコメトリーにしたって、テレパシーにしたって、クレヤボヤンスにしたって、それは逸脱した感覚だと思う。ふふ、幽霊も超能力も根源は同じなんて、とても面白いとは思わないかな?」
「いや、その前に……クレヤなんたらって何?」
 俺は生憎、そっち関係の言葉には疎い。
「クレヤボヤンス、透視だよ。マルマル見え見えってね」
 十七夜月は上半身を所長である自分の机へと倒れ伏した。
 まぁ、超能力ってのは心霊現象へ科学的な説明を与えようと考えられた説だということを聞いているので、そういう繋がりがあるのも不思議ではない、か。
「それで」
 十七夜が顔を上げてコチラを見た。透き通るような黒色が俺を捕らえる。
 俺は、今まで客用のソファーに寝転がっていたのを正して足を組む。
「それで、とは?」
 意味もなく惚けてみる。
「ふふふ、それは僕を試していると捉えていいのかな。そうだろうね。君にとって僕は無条件で頼れるほどの存在では、当然ないのだろうね。とても、ああとても残念で無念で仕方ないが、それはごく当然のことなんだろう。僕はもっと人間を磨こうと、本気で今そう思うよ……」
「あ、いや悪い。別にそういう意味で言ったわけじゃないよ」
 何ともやりにくい。十七夜月との人間関係というのは、なかなか距離が掴めなくてややこしくて、それこそ幽霊と会話しているようなものだと思う。簡単に言ってしまえば、面倒くさい性格の持ち主だ。
「ありがとう、君はまるでヘレンケラーのごとき聖人だよ。――で、君はどうしてこんな質問したのかな? 力になれるようなら、遠慮せずに言って欲しい」
「ああ、うん」
 さてと、元々自分から言い出そうとしていたことだし、これはこれで都合がいい。
 何処から話せばいいか、とにかく多過ぎて韜晦しがちになるものの、まぁ細かく説明するには俺の情報力が大きく欠けているので、簡略的にでいいだろう。
「実はな、十七夜月――」
 まず思い浮かべるのは、とあるクラスメイトの顔だった。
 三日前から、見えなくなった顔だった。
「――俺のクラスメイトが、行方不明になった」




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コメント
この記事へのコメント
久しぶりに探偵モノを読むんですけど
これは面白いです!
是非、続きを希望します!

しかし、題材が幽霊ですか。
これは見せかけたトリックが出てくるのか、
それとも本当に幽霊が出てくるのか・・・
探偵モノとしては前者ですけど
この雰囲気は後者も十分にありえそうですねw

続編に期待です!
では~
2008/07/13(日) 19:06 | URL | 黄色 #tNbAf7jk[ 編集]
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