語った過去は須く 無実に侵食された今でしかなく

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では始めよう
現実も真実も事実も虚実も全て抜きにした
無実の罪を


無実、それは。シェノンです。




いやぁ、綺麗さっぱりネタがないね。
淡泊な日々を過ごしてます。ヒビの入った、ね。
小説を順調(?)に進めてはいるものの、毎回繋げ方に苦労します。
それからサブタイトルも。
内容に合うものを考えるのは難しいですね。
特に僕の場合、そのまんまってヤツがあまり好きじゃないので(捻くれ者
趣味でやっているので、楽しいんですけど^q^



そんなわけで後半は小説の続きです。
今回はギャグがちょーと多めかもしれません。
6 動揺のない童謡

「えぇえええッ! 栖原先輩が何で此処にぃいいぃいいい!?」
 人は理解出来ないことに思考を停止する傾向があり、そこから導かれる行動は絶句か――絶叫だ。
 俺は空を見上げる。
 夜中の八時。魔女が所持する壷の奥底のように真っ暗な空は、今夜が曇りであることの表れであろう。今日は満月だと思ったのに、残念だ。
 ……なんて。
 これも一つの思考停止である。
 それにしても、学校という閉じた施設にあっさり入れたことには驚きだ。
 フェンスをよじ登ったりするものとばかり思っていたのだが、栖原先輩は校門から堂々と入ってしまった。ウチの学校のセキュリティーはそんなに甘かっただろうか。不安になる。
 確か『閉じた牢獄』とか言われてた気がするのだが……。
 しかし普通、牢獄は閉じていて当たり前なのでそのネーミングは遊びでしかないのだろうし、牢獄というよりは地獄だし、いやいや深くは考えまい。
 思考停止、思考停止。
「って、無視しないでよみーちゃんッ! ブリッジのまま四足歩行するよ!」
「……」
 絶句。
 流石にクラスメイトがそんな格好で歩く姿を見たくはない。
 そんな事言われるのも結構マジで嫌だった。
「というか俺のリアクション待ちだったのかよ。てっきり栖原先輩の方だと思った」
 ねぇ、と栖原先輩の方に視線をやる。
 栖原先輩はニコニコと、愛想良く笑顔でいる。しかしサングラスの奥の目も笑っているのかぜひとも見てみたい。きっとつまらなさそうに目を細めているに違いない。いや、開いてすらいないかもしれないなこの人の場合。先輩は「ん? ああ、そうだね」といちよながら答えてくれた。
「久慈……眠梨ちゃん、だっけ? 俺は雅孝から頼まれただけの、ただの付き人だよ。気にしないで、とまでは言わないけど、気に留める必要はないさ」
 そのセリフを聞いてこちらに睨みを効かせてくる眠梨さん。
 そしてそのままヅカヅカとコチラへ近付いて、その口元を俺の耳へと持っていった。
「何で栖原先輩を連れて来たの? 一人で来てって言ったと思うけど」
 ……そうなのか?
 そもそも俺は何故こんな場所にいるのかもイマイチ分かっていない。
 しかし当然そんなこと言えるはずもなく、
「いや、ほら、相談の件だけど栖原先輩もいた方が解決出来ると思ってさ。先輩の頭の良さ、知ってるだろ?」
 口からそれらしい言葉を吐いてみせた。
「そりゃあ、頭の中でチェスと将棋とオセロを同時に出来る凄い人だけどさぁ……」
「ダイヤゲームを忘れてる」
 ちなみにその内将棋は俺との勝負に使われている。
 先輩、どうも一つの種目につき一人だけとしかやらないらしく、前にチェスをやろうと誘ったのだが頑なに断られた。曰く、まだ倒せない人がいる、とのこと。
 うーん、誰だろうか。
 案外知っている人の気がするのだが。
「別にそれはいいの……。けど……うぅ、私の思惑と違う」
 項垂れる久慈。
 どうも彼女は彼女なりに思うところがあって、俺一人を誘ったようだ。
 ということは悪いのは俺か?
 けどコッチだって事情というものがあってこうなったわけなのだから大目に見てほしい。
 どんな事情かは、この際言わないでおく。
「まぁ、気にするなって。ほら、人生山あり谷あり、苦あればラックありラックあれば苦ありっていうだろ?」
「言わないよ! というかラックって何!?」
「えーと、ほらアレアレ……バッドラック?」
「苦ばっかじゃぁぁあああッ!!」
 周りお構いなしに叫ぶ久慈。
 もはやヒソヒソ話じゃない。隠しようのない大音量だった。
「というか、久慈の方だって一人じゃねぇじゃん」と俺は反抗することにした。
「誰だよ、あの娘。見たことないんだけど」
 久慈の肩越しから確認してみる。
 見た目同い年の女子が一人、ぼんやりとコチラを見ていた。切り過ぎないぐらいのショートカットを簡単にまとめた、色素の薄い髪におっとりとした目。身長は……まぁ平均ぐらい。俺の周りはよく背の高い女がいるから小さく見えがちだが、比べてみると久慈より少し高いかもしれない。
 十七夜月……167あるからなぁ。
 久慈も俺が見ている方向に目をやって、
「あ、忘れてた」
 マジな顔で驚いていた。
 おい。
「んじゃ、紹介するね。この娘はコトリアソビハルカちゃん」
「は?」
 コトリアソビ?
 すげぇ……。
 巫部も十七夜月も目じゃねぇぜ。
 奇跡の域に達しているだろ、明らかに。
「違う、小鳥遊(たかなし)だって眠梨ちゃん」
「あれ? そだっけ?」
 本人よって丁寧に修正された。
 それに初めて声を聞いた。
 少なからず安心する。
 しかし、小鳥が遊ぶと書いてタカナシ?
 何か、俺の知り合いって苗字に恵まれていない奴らばっかりじゃねぇか。
「本当、何でそんな読みになるのかな?」
 久慈が首を傾げて、脳内を活動させたものの、エネルギー不足か「ぷしゅぅう~」と気が抜けていく音と共に再び項垂れる。
「それはアレさ」
 と、栖原先輩が唐突に助言を授けてきた。
「ひっ」と久慈が俺の背中に隠れる。どうも久慈は先輩に対して苦手意識あるらしい。
「鷹無し、ゆえに小鳥が遊べる。だから小鳥遊。……月の見える里と書いて、月見里(ヤマナシ)と読むのと同じ趣向だね」
 まるで自分を確認するように先輩は小言で語った。
 へぇ……。
 やっぱり読み方にも意味があるんだなぁ。
 十七夜月でカノウと読むのにも何か理由があるのか、聞いてみたくもあるが、ここでその名を出すことは憚られる。何か……こう、捻れた布をさらに二つに折る感じで。ややこしさを増やすほど俺は整理出来る人間ではない。
「はじめまして、小鳥遊遙です」
 ぺこり、と礼儀正しくお辞儀する小鳥遊。
 今時感心な娘だ。
「俺は巫部雅孝だ。誰かさんは勘違いしているけど、『みべ』じゃない」
「あ、あははは。もう、みーちゃんってば、手厳しいよ」
 そう言ってダブルピースしてみせる久慈。
 今時寒心な娘だ。
 みーちゃんやめろって。

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2008/08/01(金) 23:49 | URL | きよみ #-[ 編集]
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